初めてのラヴレター
(2003年 執筆)

これは俺が中学1年の頃の話だ。3年生の卒業式をまじかに控えて校内では告白が流行っていると小耳にはさんだ。
となると、俺の好きなあの子も誰かに取られてしまうかもしれない!そうはいくかって事で、俺は意中の女の子に告白することを決意した。


俺の作戦はこうだ。
1、まずラブレターで指定の時間に呼び出す。
2、直接会って告白する。
3、そして一緒に登校する。
まさに完壁だ。

ということで、さっそくラブレターを書いた訳だが、当時の俺は何を思ったのか差出人の名前を四択のクイズ形式にしたのだ。アホか俺は。

それだけなら、まだいい。さらに当時の俺は何を思ったのか呼び出す時間を早朝6時にしたのだ。早過ぎるっつうに。

しかし、そんなことも おかまいなしに自分では完璧と思ってラブレターを投函したのだった。

投函?……そう。……投函したのだ。……郵便ポストに。

そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、当時の俺は真面目に郵便ポストにラブレターを投函したのだ。郵便番号や住所までしっかり書いてあるラブレターなんぞ、今考えると妙ちくりんだが、官製ハガキでなく、封筒だったのがせめてもの救いであろう。


そして運命の日。俺は早朝6時のずいぶん前から待ち合わせ場所にいた。待ち合わせ場所は学校の裏門。そして俺の格好はジャージ。ここまで来ると、もう突っ込みどころがあり過ぎて突っ込むのをやめたくなってくる。まあとにかく、俺はそこで意中の女の子が来るのを待ったのだった。

10分経過。来ない。
20分経過。来ない。
30分経過。やはり来ない。
そして1時間が経過しようとした時…。来た!やって来た!とうとうやって来たのだ!部活の朝練の生徒たちが。ゲームオーバーだ。そして俺も朝練に行ったのだった。


その数日後。意中の女の子が俺の投函したらしきラブレターをこっそりと学校に持って来て友達と何やら話していた。

後で分かった話なのだが、どうやら俺が呼び出した日には まだその子の手元にラブレターが届いていなかったらしい。なんて阿呆な話だ。もっと余裕もって呼び出す日を決めろよ俺。

教訓:ラブレターは郵便で送らない




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