いいひとって‥。
(2003年 執筆)

俺の高校時代は恋に始まり恋に終わった感じがする。
まず、高校選びの時点で半分くらいは結構不純な動機だった。
「あのコも行くみたいだし、この高校にしよう」
という感じに。

そんな訳で意中の女の子と同じ高校になり、そして、入学して間もなく1年生同士の交流のための合宿があった。

俺の作戦はこうだ。
1、まず、仲良くなる。
2、悩みごとを話せる仲になる。
3、恋人同士になる。
以上。完璧なハズだった。

しかし、合宿初日から試練は待っていた。……彼氏がいるということが発覚。しかも相手は俺の友達。その後の合宿中の記憶はあまりない。覚えているのは、夜中みんなが女部屋に行ったり、トランプやったりしてる間に俺は一人「おしいれ」で眠っていたことだ。

かくして俺の作戦は入学1ヶ月目にして早くも崩れ去った……かに見えた。だが俺は諦めなかった。彼氏いるなら別れるまで待ってやる! それまでは、いい友達としていよう。

そんな訳で俺は、いい友達として、そのコと仲良くなった。俺は頑張って「いいひと」でありつづけた。悩みごとの相談にものったし、別れそうになったところを何度も仲を取り持ったりした。
そして月日は流れ、とうとう2人は別れた。つまり、とうとう俺の時代が来たのだ。

ある日、俺はそのコと2人で下校していた。もうかなり仲が良かった。パッと見、恋人同士に見えたかもしれない。俺の作戦完了はもう目の前に思えた。そんな時、そのコにこう言われた。
「こじちゃんってさー、すっごくいいひとだけど、なんか いいひとで終りそうだよね」
まさに痛恨の一撃。悪気がないだけに痛い。そして俺は「いいひと」をやめた。




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