これは、僕の友達のさんまさん(以下 彼)が中学生の頃の話だ。 彼にはA子さんという好きな人がいた。彼はA子さんとは、けっこう仲が良かった。たぶんA子さんも彼のことが好きだったのであろう、彼はA子さんに何度も好きな人は誰かを聞かれていた。 そんな やきもきした関係に終止符を打つべく彼はラブレターを書いた。
しかし、それを文章に表現するのは難しい。ここまでお互い牽制し合ってきていきなりストレートに好きだと書くわけにもいかない。「好き」という言葉 を使わずになんとか「好き」という気持ちを表現できないものか。
そこで、彼は何を思ったのか こう考えた。俺はバスケ部だから、この気持ちをバスケ漫画から引用しよう。
そして、彼の発想は飛躍してゆく。俺のこの想いは言葉じゃ表現しきれない。よし、音楽に想いをのせよう。 「俺の気持ちはスラムダンクのオープニングテーマを聞けば分かる」
いや、意味わからんし。何回きいてもわからんし。ぜんぜん意味わからんし。A子さんが好きだってことが、これっぽっちも分からんし。なぜオープニングテーマなのか分からんし。
そんなわけ分からんラブレターを渡したのに、なぜかその後2人が付き合い始めたのは、20世紀の七不思議のひとつだ。 |