男共の戦い



今回の登場人物 →





「ふっふっふ、はっはっは………。」
一人の男が不適な笑みを浮かべる。
「これがあれば、立ち止まっていた愛のシルクロードを再び歩み出す事ができる」
そう独り言を言いながら、バックの中から小瓶を取り出した。
その小瓶が何なのか知っている男は笑いが止まらずにいた。
「待っていろよさんま」

「よし、仕事を休憩して、昼飯にしょうぜ。」
時が正午を回った頃だ、さんまが恋愛相談所の仕事が一通り終了して、今日、丁度ホームヘルパーの仕事を休業していためぐみに呼び掛けた。
「あの……あの……そうですね、すぐに支度します」
そう言いながら、めぐみは最近やり始めた料理の腕をふるった。
そして、今日ホームヘルパーの休業という情報をどこから聞きつけたのかツッコミ男もさんまの家に勝手に上がりこんでめぐみの料理を手伝っていた。
「め、め、めぐみさんと一緒に手作り料理つくってるなんて、心臓がバクバクして、鼻から牛乳が出そうです。」
そう言いながら、ツッコミ男は、興奮して鼻から牛乳を出していた。
「あの……あの……何で鼻から牛乳出すんですか。それ以前にどうして此処にいるんですか、ツッコミ男さん」
「めぐみ、ツッコミができるなんて本当に器用だな」
さんまがそんな関心をしていると、めぐみが出来上がった料理を食卓に運んできた。
「今日の昼飯は何だ、めぐみ」
「あの……あの……今日は、天婦羅饂飩にしました」
「天ぷらうどんなんて難しい漢字、めぐみさん知ってるんですか。凄いですね」
「ああ、昨日ミキが小学校で習ったと言った漢字だな」
「小学校で習うはずが無いじゃないですか!」
すかさずツッコミ男が、ツッコミを出す。

食事を終えると、さんまがツッコミ男に話し掛けた。
「おいっツッコミ男、今すぐめぐみに告白しろ」
「な、何言ってんすか。めぐみさんは、さんまさんの女なの知っているんですよ」
「ああ、だけど前回は告白の仕方に問題があったんだ。
パンツを洗って下さいじゃなくて、ふんどしを洗って下さいと言うんだ。きっと見事な程うまくいく」
「………分かりました」
とまどいながらもツッコミ男は、めぐみに近寄った。
「めぐみさん、ボクのふんどし、洗ってください」
「あの……あの……ごめんなさい。やっぱりけがれ過ぎた殿方の下着なんて、とてもじゃないけど洗えません」
「ぐはぁっっっ!さんまさん、前回よりも酷くフラれたじゃないですか」
「嘘じゃないさ、見事な程うまくフラれたじゃないか」
「嫌がらせじゃないっすかそれ」
またもツッコミ男が、ツッコミを出す。

めぐみが家事を再開し、さんまも仕事を再開しようとした時。
呼び鈴の鳴る音がしたのでさんまは返事をした。
「はーい、どなた様ですか」
「すいません、忘れ物をしたんで返して欲しいんですけど」
「傘か何かですか?」
「いえ、大切な女性を。最も忘れた事なんてありませんけど」
ドアを開けるとそこには、詩織の元フィアンセであった こじ が不適な笑みを浮かべていた
「お前は!!!」
「さんまさん、誰なんですかこの人は?」
ツッコミ男が、さんまに聞いてきた
「ふっオレは こじ。詩織と共に愛のシルクロードを歩む男だ」
そのこじの言葉に、さんまは怒りを感じた。
「勝手な事をぬかすな。詩織はオレの女だ」
「そんな事を言ってられるのも今日で終わりだ、オレの道具袋の中に入っているアイテムを使った後でもそんな強がりを言っていられるかな?」
「道具袋とかアイテムなんて言葉、ファンタジーゲームじゃないんだから使わないでくださいよ」
またまたツッコミ男がツッコミを出す。
しかし、そんなツッコミも二人は全く気にせずシリアスな空気を漂わせていた。
「悪党の言葉が段々と似合ってきたな。こじ」
「そんなさんまの言葉などを気にせず、こじは道具袋の中からアイテムを取り出した」
「こじさん、一人で何言ってんのおおおぉぉぉぉぉ」
やはりツッコミ男がツッコミを出した。
そしてこじは言葉通りバックの中から小瓶を取り出した。
「それは?」
「これは、ベンジャミンのような人から譲って貰った伝説の薬、惚れ薬さ」
「そうか、ベンジャミンみたいな人から貰ったのか、そんなにベンジャミンに似てたのか?」
「ああ、鼻なんかベンジャミンタイプだったな」
「耳なんかベンジャミンクラスっぽそうだな」
「それだけじゃない、眉毛なんかベンジャミン的だったぜ」
「ベンジャミンって誰よ、それよりも何言ってるのか全然分かんないっすよ」
懲りずにツッコミ男がツッコミを出した。
「とにかく、この惚れ薬を使えばどんな女もフェロモンの刺激を受け、コロリさ」
「堕ちるとこまで堕ちたなこじ。そんな薬品に頼るなんて、そんなんじゃ詩織を脳を揺さぶる事はできても、魂は、何一つ揺さぶることは出来ないぜ」
「見苦しいぞ、さんま。所詮生物と言うのは、相応しい雄のフェロモンと雌のフェロモンが結ばれる。それが自然の摂理なのさ。
そこの死んだ様な顔をした男もこれをやろうか?
おまえにも好きな女の一人や二人はいるだろう」
「って誰が死んだ様な顔をした様な男だ!
ってそんなのはどうでもいいとして、本当にくれるんですか?」
「ああ、効果は折紙付きだ」
「そんな言葉に惑わされるなツッコミ男。
こじ、何がフェロモンだ、何が自然の摂理だ!
オレが今まで愛していたのはフェロモン何かじゃない。
オレは今までのオレの女の感じてきた全てを愛していたんだ!
愛を化学なんかで語るな、愛って言うのはな、想いで語るんだ」
「何をほざこうが同じことだ。詩織は生涯オレの女として生きていくんだ。
所で肝心の詩織は何処にいるんだ?」
いつもは、仕事の時も一緒にいる聡美と詩織が今日いなかったので、こじはさんまに聞いてみた。
「ああ、ちょっと聡美と一緒にヤボ用さ」
「まぁ、詩織が貴様の女でいられるのもこいつを使用する時までだ。
せいぜい詩織とのメモリーを後生大事に………ぐはぁ」
さんまはとうとうこじに殴りつけた。
もはやこいつとは語る言葉も無いと感じたさんまの、怒りの行動だったのだ。
「いつまで詩織を侮辱するんだ。そんな薬一つで詩織の愛が変わるはずがあるか!
オレ達の愛を汚す奴は誰一人とて。許せん」
そして、さんまの怒り頂点に達した。
説明しよう、さんまの怒りが頂点に達する時。伝説の必殺技「奥技ラブラブ流星拳」を放つ事ができるのだ。
「今のオレなら奥技ラブラブ流星拳を使える……
いくぞツッコミ男。奥技ラブラブ流星拳は合体技だ」
「今のオレなら奥技を使えるとか言いながら合体技なんですね。
!!って何でボクを巻き込むんですか!!」
「いままでの奴の言葉を聞かなかったのか?
こいつは愛を全てフェロモンの一言で片付けたんだぞ。
ツッコミ男おまえはめぐみの何処が好きだ」
「まるごとバ○ナのように丸ごとです」
「そうだ、めぐみの好きなところは遺伝子だけじゃないだろう。
こじはオマエのそんな想いも馬鹿にしたんだ。
こんな男の敵は放っておけない。だからブッ飛ばすぞ、ツッコミ男」
最初はとまどったものの、さんまの熱い言葉でツッコミ男は、遂に決心が固まった。
「……分かりました。やりましょう、その合体必殺技を」
「はああああああああああああああ」
「ほおおおおおおおおおおおおおお」
「な、何だ。奴らの底知れぬ気は」
さんまとツッコミ男の底知れ闘気によって、黄金のオーラを纏った光景を見てこじは驚愕した。
「こじ、俺等の理性がちょっとでもある内に…ってもう無ぇから奥技をぶっ放すぞ」
「奥技。ラブラブ流星拳!!!」
二人の掛け声と共に「奥技ラブラブ流星拳」は繰り出された。
そして、無数の拳がこじに命中した。
「ぐへぇっっっ!」
そして、こじが手にしていた惚れ薬の瓶も、繰り出された。
「奥技ラブラブ流星拳」によって、見事に砕け散った。
「ああっ、オレの惚れ薬が!!!」

「人の恋路を邪魔しようとした報いだな」
気を落としているこじにとって、さんまのその言葉を重くのしかかった。
「貴様………。アレが手に入る間オレがどんな苦痛をしていたのか分かるか!愛している人に愛されない気持ちを貴様は、理解できるのか!」
「愛している人に愛されない気持ち………。
ふざけるな!確かに愛しているのに愛されないのは辛いことかもしれない。
だけどな、愛してもいないのに愛されている詩織の気持ちを考えてみろ!
これは、ひろしやツッコミ男にも言える言葉だ」
「何て無茶苦茶な理屈だあああぁぁ!」
「無茶苦茶でもないぞ。これは偉大なクルトリーヌと言う人が言ってた言葉だ」
「一応聞いておくが、そいつは一体誰なんだ?」
「さぁ、これを書いた作者も知らないからな」
「作者も知らないのにこの言葉使ったのか」
「まあ、そんな事はどうでもいい。それよりこじ、今からおまえを「究極の裏拳」でブッ飛ばす。二度と詩織やオレ達の前から姿を現すな」
「そんなバナナ――――――」
こじは、さんまの究極の裏拳で遥か上空にブッ飛ばされた。

そしてその夜。
「今日はこの辺で帰らせていただきます。失礼ました」
「そうか、じゃあな。ツッコミ男」
「それではめぐみさん。ホームヘルパーが休業の日にまた来ます」
「あの……あの……。もう来ないで良いです。
けがれ過ぎた殿方の下着を履いている人が来られても迷惑なだけですし」
「ぐはぁっっっ!めぐみさん何かドンドン言い方が酷くなってません?」
その時。丁度、聡美と詩織が帰って来た。
「ただいま、さんま」
「よお、聡美、詩織、おかえり」
「あれ、そういえば聡美さんと詩織さんは今日は家にいないで、遅くまで何してたんですか?恋愛相談所の仕事もあるでしょうに」
そうツッコミ男に質問されたので、聡美は答えた。
「ストライキよ」
「ストライキって何かしたんですか?さんまさん」
「ううん別に何も」
「何もしてないのに、ストライキってなんですかそれ。
ストライキって言うのは、不当処分や低過ぎる待遇等無いといけないんですよ」
ツッコミ男がそんなツッコミをしていた直後。
いきなり、凄まじい轟音がいきなり鳴り響いた。
「な、何?」
「隕石か何か衝突でもしたの」
「とりあえず調べてみよう」
さんま達が家を出て調べようとした時、家の傍にクレーターが出来ていた。
「凄い、本当に隕石が埋まってそうですよ」
「よし、今すぐ埋まったものを掘り返そう」
そう言い、さんま達は隕石を掘り起こそうとした、そこには隕石ではなくなんと昼間までいたこじが埋まっていた。
「こ、こじさん」
「なんでこの男が埋まってんの」
「何でこじさんが埋まってるんですか?
だってさんまさんが昼に究極の裏拳でブッ飛ばしたんじゃないですか?」
「ああ、確かにこじはオレが究極の裏拳でブッ飛ばしたさ。『真上』へ」
「真上ってことは……
今までこじさんは『真上』へブッ飛んでたって事ですかー!?」


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